いつまでも自分の歯で食事ができるのは理想ですが、加齢や事故によって歯を失うことは仕方がないこと。
やむなく入れ歯にせざるを得ない人もいらっしゃいます。
そうした方たちの切実な願いは「自分の口にピッタリ合う入れ歯がほしい」「目立たない入れ歯がほしい」などではないでしょうか。
そうした患者さまの要望に応えるため、当院では精密な型取りと分析を重視した入れ歯治療を心がけています。
もちろん、保険適用外のセラミックなどを使った入れ歯にも対応することができます。
精密な型取りと分析によるオーダーメード
入れ歯を、患者さまの口にピッタリと合うようにするには、入れ歯を支える歯茎や頬の粘膜・筋肉、口の周りの筋肉、舌などの状態を詳細に分析しなければなりません。
詳しいデータを取ったら、次は個人トレー(自分の口の型)の作成です。口の中の状態を再現することによって、一人一人にあった入れ歯を作ることができるのです。
個人トレーは、ピッタリと合う入れ歯を作るのに欠かせません。
当院では保険適用外の自費診療だけでなく、保険適用の治療でも、上の歯の総入れ歯を作る場合には必ず個人トレーを用いています。
入れ歯の構造
入れ歯は基本的に3つの部分から構成されています。
入れ歯の種類
入れ歯には「総入れ歯」と「部分入れ歯」があります。それぞれの特徴をみてみましょう。
総入れ歯
自分の歯を全て失ってしまった場合に使用する入れ歯です。人工歯と床でできています。
総入れ歯にはクラスプはありませんが、床を吸盤のように歯茎に吸着させることで、安定させています。
ガラス板を重ね合わせたときに、ガラス板の間に水があると吸着するのをイメージしていただけると分かりやすいのではないでしょうか。
部分入れ歯
部分入れ歯といっても、1本の歯を再現したものから、最後の1本となった歯を取り囲むものまで、患者さまの歯の状態に合わせてさまざまです。
人工歯と床、クラスプからできていて、クラスプで入れ歯を固定し、安定させます。
人工歯や義歯の床、クラスプの素材にもいくつか種類がありますが、素材によっては保険適用外となります。
レジン床 (保険適用)
入れ歯の土台となる床は、一般的にレジンという歯科用プラスチック樹脂でできています。
レジンは、歯科治療の材料としてよく使われ、虫歯などの詰めものに使われる白い樹脂もレジンです。レジンは保険が適用されます。
入れ歯をはめると、床の部分にどうしても違和感を覚えてしまいますが、それは、床に3mmほどの厚みがあるからです。
それ以上薄くしてしまうと、 強度を保つことができないので、仕方がありません。
金属床(一部保険適用)
床にコバルトクロム合金やチタンなどの強度のある金属を使用すると、厚みを0.3mm程度にまで薄くすることができます。
そうすると、レジン床のような違和感を和らげることができます。
金属なので食べ物や飲み物の温度も伝わりやすく、食事もよりおいしく感じられます。また、レジンに比べ丈夫で長持ちします。
ほとんどの場合、保険が適用されないので、費用については事前によく確認しましょう。
その他の入れ歯(保険適用外)
バルプラスト義歯
床がスーパーポリアミド樹脂という素材でできています。
この樹脂は 薄くて軽く弾力性に富んでいるため、丈夫です。
このため、壊れにくく、厚みを薄くできるので装着時の違和感を和らげることができます。
また、床で固定できるので、金属の金具は必要ありません。
口を開けても金属が見えないので、見た目も良く、入れ歯だとは周囲に気づかれにくいというメリットもあります。
欠点としては、修理の難しさがあります。
歯科クリニックでは修理することができないため、破損などで修理が必要な場合は、できあがるまで数日かかってしまいます。
キズが付きやすいの欠点の1つで、毎日の手入れには専用の洗浄剤が必要です。
あまりにキズや汚れがひどいと、洗浄では間に合わず、歯科クリニックでクリーニングしてもらうことになります。
シリコーン義歯
入れ歯をしている方の悩みの1つに「歯茎と接する部分が痛む」というものがあります。
歯茎が痛むのでは、食事を楽しむことができません。
そこで、入れ歯の床のうち、歯茎と接する部分に生体用シリコーンを使った義歯もあります。
生体用シリコーンにはクッション性があり、痛みや不快感が軽減されます。吸着性も高いので、外れやすさも解消されるでしょう。
現在使っている義歯に、シリコーンを貼り付けることもできます。
ただし、シリコンを装着する加工はすべて、保険適用外となります。
デメリットとしては、素材にもよりますが、時間が経つとシリコーンが劣化し、汚れが付着しやすくなることです。
最近は、比較的長持ちする素材も現れてきました。
破損した場合は歯科クリニックで修理ができず、できあがるまで数日かかります。
マグネット義歯
金属ではなく、磁石の力を使って装着する義歯です。
残った歯に磁石を付けた小さな土台を取り付け、入れ歯側にも磁石を入れることで、互いに引きつけ合います。
金属が見えないので、見た目も良いですし、手を動かしにくいなど入れ歯を扱うのが難しい方にとっても、非常に扱いやすい入れ歯です。
ただし、磁石を取り付ける歯は神経のない歯だけで、健康な歯の神経を取り除かなくてはならないこともあります。
また、心臓にペースメーカーを入れている方は使用できません。
入れ歯といっても、さまざまな素材が使われ、違った特徴や特性があります。
患者さまの症状や要望、予算にあった入れ歯を選べるよう、事前によく検討することが大切です。
当院では、患者さまに適した入れ歯が製作できるよう心がけていますので、気軽になんでも相談してください。